戦争は文化、即ちその土地に過去あった全ての人々の精神をも殺す
ベトナム人学生との会話
ベトナムはアルファベットのような文字を使ってるね
これはラテンから来てるんだ
え、こんなところに急にラテン!?
1664年かな、ベトナムがフランス領になってそれまで使っていた中国のような文字は廃止されたんだ。
そのために、古典などはもちろん、お寺などに書いてある文字も今のベトナム人は読めないのだそう。昔の人が永遠に残ると考えて苦労して建てたお寺の大事な言葉も外国語のように感じられているのは悲しいと思った。これも歴史の一部として捉えられるが、先の小林秀雄のいう想像力を働かせるならば、お寺を建てた人々、戦争で戦って負けていった人々はとても悔しく思っていることだろう。
また、ベトナム戦争(ベトナム人はWW2と言っていた。彼らの認識ではWW2なのだろう。)で南北に別れて戦ったが、今でも南と北は仲が悪いらしい。経済の中心は南だとか。
彼は南京大学に留学していたが、南京大学ではいたるところに日本人が中国人を虐殺している写真が大きく貼られているらしい。これを聞いて、南京大学に、そこまで反日感情を植え付けなくても…と少し気分を悪くしてしまったが、これは同胞が殺されたという悲しみを忘れないために、鎮魂の意味ももって彼らはやっているのだとも思うから理解するべきなのだろう。
あの時代にされるがままになっていたことの悔しさを、今そのようにしてしか返せないことに彼らはまだ怒っていてもおかしくない。例えば今が戦争の一年後なら私は気分を害さなかっただろう。なぜ、もう昔のことなのにと中国を非難することができるのか。時の流れに甘えず、しっかりと彼らの怒りを受け入れるしかないと思う。